ユーチューバーになりたい
ついにその日が来てしまった。
最近は将来なにになりたいのだ? と息子(8歳)に聞いたら「んー、最近はねえ……やっぱユーチューバーかな」と言い放った。
将来なにになりたいか、というわりと大きな問題を「最近は」と一過性で移ろいやすいもの前提でカジュアルに聞く俺も俺だが、まあとにかく、ついに息子の口からその言葉を聞く日がこんなにも早く来るとは思ってもみなかった。
「ユーチューバーかあ……そーか、なるほどな、そーか……」
そう言いながら私は、十数年前に友人と居酒屋で酔いどれながら他愛のない下ネタを録音してポッドキャスト配信して喜んでいたあの頃の自分の姿と息子を重ね合わせて苦笑した。
息子が寝静まったあと、妻がぽつりと「あの時の音源、いつかあの子に聞かせてあげようと思って録ってあるから」などとくそまじめな顔で言いだしたものだから、なんて返せばいいのかちょっとわからなかった。