えらばれしもののふのゆくみち #1
【2005年6月18日の日記を再編集したものです】
»「えらばれしもののふのゆくみち #0」から順にお読みいただくとそこそこ話が楽しめます。
2005.6.13 mon. 21:00
上越新幹線 Maxとき339号は東京駅を発車。
はじめての二階席だ。はしゃぎたい。だって、男の子だもん。
列車が動き出すまで我慢したのは駅弁ならぬ、特命係長 只野仁。
2005.6.13 mon. 22:49
東京から新幹線で1時間50分、長岡駅到着。
乗り換えのため足早に階段をかけ降り、信越本線のりばを目指す。
最終の新幹線だったため、東京観光帰りのカップルの姿も。そんな甘いムードのふたりに見とれていたら、乗り換えるだけのはずなのに間違えて改札を出ちゃった。
途中駅のため乗り過ごしは許されない。
三両編成の電車に乗客はまばら。本を読むにも襲いかかる睡魔。
もちろん車窓から見える景色はすべてモノクローム。
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2005.6.13 mon. 23:55
長岡から各駅停車でおよそ1時間、新津駅到着。
さらにこの駅であと1時間半、次に乗る寝台列車が来るまで待つことに。
この駅、なんにも、ありゃしない……
寝台特急の停車駅だからと、時間を潰す飲食店などが並ぶ大きなターミナル駅を想像していたのだが、予想は見事に大はずれだった。
一ケ所しかない改札口に、職員の影は、ない。
と、電光掲示板を見上げてみると涙がちょちょぎれんばかりの懐かしい文字が。
ええ!? し、しんじゅくぅー!!!???
東京の新宿だよねぇーーー!!!???
今から、まだ、戻れるのぉーーーー!!!???
とはいえ、何時間かかるのかわからないが、かたいクッションの電車に揺られて、ふたたび新潟から東京まで逆戻りする体力と勇気は、すでに持ち合わせてはいなかった。
そう、賽は投げられた。ここまで来たら秋田へ行くしかない。
あと1時間半……
しかも、俺が乗りこもうとしている寝台特急「日本海」の最終駅がはるか北海道の函館だったことをここで初めて知る。
いっそのこと、函館まで行っちまおうか……
……そう、迷う時間だけはたっぷりと、あるのだ。
とぼとぼ階段を降りて、再びホームへ。
ふと見ると、ベンチに寝ているおじさんひとり。
このあとおじさんはどこからともなく現れた駅員に連れられていった。
こんな虫だらけの自販機じゃボタンを押す気にもなれず、俺は回送車両が待機するホームの端へと移動した。
2005.6.14 tue. 00:23
ホームを明るくしていた回送列車が車庫へとおさまると、とうとう俺は駅でひとりぼっちになった。
俺を乗せるために「日本海」がここへ来るのは1時間後……
ときおりごう音をまき散らしながら貨物列車が過ぎていく。
すでに日付けは変わっている。
»「えらばれしもののふのゆくみち #2」へつづく