えらばれしもののふのゆくみち #0
【2005年6月17日の日記を再編集したものです】
なあ、もう、いいだろう。
なあ、もう、やめにしよう。
どっちが悪いとか、正しいとか
勝手に出ていったのはあんたなんだから、とか
あたしゃ義理を通さなきゃならないんだ、とか……
疲れたよ、俺。
どっちでも、いいよ、もう……
去年(※注 2004年)俺は妻と二度目の別居をした。そしてまたやり直そうと一緒に暮らし始めたが、あいかわらず言い争いが絶えない。
そう、どっちでもいいぜ、もう……
若貴問題。
仕事帰りのサラリーマンで賑わう東京駅地下の飲み屋で「週刊現代」を読みながら、俺はそう思った。
とにかく、俺は疲れたんだ。
だから、旅に出ることにした。
二子山株が行方不明? ついでに探してきてやるよ。
新幹線の出発時刻まで、あと三十分。
ささやかな小遣いで晩酌を楽しむネクタイ族に囲まれながら、俺は鶏のカラアゲと生ビール二杯を胃の中へと流し込む。
てもとにある切符は三枚。
長岡までは新幹線だ。
選ばれし武士にあてがわれた席は、もちろんグリーン。
そして、新津から秋田へは、初体験の寝台列車。
たった四時間分の寝台料金は、なんと6300円。
歌舞伎町のカプセルホテルより高ぇ。
そう……
この世には、神に選ばれし人間と、そうでない人間がいる。
もし俺が、神に選ばれし人間であるならば……
そんなわけで、DJ tatsumiプレゼンツ
これからしばらくの間、おつき合いください。
»「えらばれしもののふのゆくみち #1」へつづく