わらじを作る人
寄書きが回ってきた。年下の同僚がもうすぐ会社を去る。またそんなシーズンか、と少し寂しくなる。できるやつから辞めていくなあ……とこれまで何度言ったことか。
定期的な仕事でわりと懇意にしていた彼にどんな言葉を寄せようかとしばらく思案して、最近読んだ本に出てきて思わずメモったフレーズが浮かんだ。
駕籠に乗る人担ぐ人、そのまた草鞋を作る人
語感とリズムの良さもさることながら、現代社会の縮図とリンクしたわかりやすいことこのうえない情景が一瞬で目に浮かぶ。
我ながらなかなかのチョイスである、となんだか校長先生にでもなった気持ちで一筆したためることにした。
駕籠に乗る人担ぐ人、そのまた草鞋を作る人
ずっとわらじ作ってるんで、いつかカゴに乗って迎えに来てよう!
と書いて次の人に回した。