ZOROPPE

いつもじぶんにごくろうさん

芝生のある公園で

息子

昨日、妻と息子と芝生がある大きな公園へ行きました。

芝生に寝っ転がって秋風に包まれながら、妻が買ったアルフォートを食べたり、最近「高い高い」でケタケタと笑い声を上げるようになった息子とじゃれあったりしていると、私の将来の見通しが立たないこと以外、まったくもって幸せだなあとしみじみ思いました。

私たちが寝転がっている芝生の向こうの方で若いカップルが楽しそうにバドミントンをしていました。

きゃいきゃいとはしゃぐ微笑ましいバドミントンカップルを眺めながら私は「あの二人、まだやってないな」とつぶやくと、妻に「お父さん! 息子がいるでしょ、んもう」とたしなめられ、将来の見通しが立たないこと以外、俺、お父さんなんだなあとしみじみ思いました。

しかし、ただひとつ気になったことがあったのです。よく見てみるとバドミントンカップルの男が着ているTシャツの背中に「野球魂」というロゴがプリントされているではありませんか。

ま、まさか……?

私の嫌な予感は的中しました。カップルはバドミントンをひとしきり終えて自分たちの荷物置き場に戻るとやにわにグローブを持ち出して、キャッチボールを始めたのです。

ぎこちない投球フォームの女…… それを茶化す男……

山なりであさっての方向へそれるボール……

それを追いかけて走る男…… ごめんごめん! と笑う女……

私は思わず「ああ、やっぱりやってたか……」とつぶやきましたが、それについて妻はなにも言いませんでした。

世間で(中山秀征あたりが)よくいう「焼肉屋にいるカップルはできている」みたいなたいした根拠もない、しかも使い古されたあるあるネタが私は大嫌いですが、公園の芝生でバドミントンをするカップルはまだしてないと思います。でも、グローブをはめてのキャッチボールをするカップルは確実にしていると思うのです。

なんで? と聞かれても困ります。根拠などなくただの持論です。フリスビーをするカップルはペッティング止まりです。

そのあと、妻が買ってきたアルフォートがだんだんと溶け始めてきて、私は「チョコはカチンカチンに凍らせたほうがうまいよね」と言うと、妻は「私は溶けかかったくらいのチョコが好き」と言います。私は「嫌だよう、カチンカチンに凍ったチョコが口の中でふにゃふにゃ溶けていく、あの過程がいいんじゃないか」とまたもや持論を展開しました。

妻に「なんで?」と聞かれたら「だって、ふにゃふにゃのちんちんをしゃぶってもらってカチンカチンになっていくときとかすごい興奮するじゃん!」と言うつもりでしたが、妻はとくになにも言って来ませんでした。

でもよく考えたら、あんまり的を射たたとえじゃないし、だいたいカチンカチンとふにゃふにゃの過程が逆でした。

息子は最近、目にとまるものをなんでも口に入れたがるようになりました。その様子を眺めながら「唇は第二の性器」とはよく言ったもんだなあと思ったりします。