ZOROPPE

いつもじぶんにごくろうさん

おくやみ

半熟女

以前、出版社に勤めていた頃の上司だったSさんが亡くなった。

Sさんとは違う部署にいたのでほとんど話したことはなかったが、その後、私もSさんも会社を辞めて、そのうちSさんが起ち上げた会社から私は仕事をもらうようになった。が、やはり仕事のやりとりは別の編集者だったので直接話すことはほとんどなく、それにもうここ数年、Sさんの会社から仕事はもらっていなかった。

そんなSさんが亡くなったと、昨日知人から連絡が入った。

通夜に行くべきかどうか……

正直、そのとき私はまずそのことを考えた。とても微妙な関係だなと思った。人が死んでそれを悔やむのに微妙な関係もなにもあったものではないのだろうが、通夜の席で会いたい人ともあまり会いたくない人とも会ったりするのがとても面倒だと思った。こういうことを考えなくてはいけない俺、大人だなとも思った。

そんなふうに昨日からもやもやしていたのだけれど、もやもやするくらいなら香典持って通夜に行こう、ぱっと行ってぱっと拝んでぱっと帰ってこよう、人が死んでそれを悔やむのにぱっともなにもあったものではないのだろうが、今朝目が覚めてそう思ったら、どうやら密葬で内々に済ませるらしいとの連絡が入って、そのとき私はいったい何にほっとしたのだろうか。

死んだ人を悔やむのに、世話になった度合いは関係ない。それにもちろん写真と本文もいっさい関係ない。

荻窪方面にそっと献杯