ZOROPPE

いつもじぶんにごくろうさん

四十にして満腹


四十歳の誕生日は休日出勤だった。

その前日、休日出勤届を提出しにいったら事務の女性社員に「こばやしさん、明日誕生日ですよね」と声をかけられた。なんで知ってるのかとどぎまぎしながら、誕生日なのに休日出勤だよ、とたいしておもしろくもないことを言うと、近くにいた課長に歳を尋ねられた。

「そか、こばやしさんも不惑かあ」

不惑の意味はよくわからないけど、みんな四十歳になる人を見つけたら不惑って言いたいだけだなんだろなと思った。

休日出勤した誕生日の昼は、会社近くの立食いそば屋で券売機のボタンに「満腹!」のシールが貼られた海老が三本ものっかった天丼とざるそばのセットを食べた。

あんのじょう半分食べたあたりで満腹になり、もう若くないんだなあとしみじみ思った。

思い返してみると三十になったころはフリーランスで適当に働いていて、四十になったら引退して小さな居酒屋をやりたいなどというジャイアンツの控え選手の成れの果てみたいな夢を持っていたが、現実の私はなにがどう転んだのかサラリーマンをしていて、仕事の夢で目が覚めてしまうような毎日です。

早くこの案件を片づけて、でっかい風呂にのんびり浸かるのが夢です。