ZOROPPE

いつもじぶんにごくろうさん

さよなら、黄色い電車の走る街。

西武新宿線の下井草という街に一年四ヶ月住みました。

それまで十年以上暮らしていた中央線の高円寺と比べると、とても同じ区内とは思えないほどのどかでなんてことない住宅街でしたが、言いきってしまえば毒にも薬にもならないそののどかでなんてことない中庸っぷりが、いま考えてみればわりとおもしろい街でした。
東京下町、その昔は深川と呼ばれていた(今でもその町名は残っている)界隈で生まれ育った私は、大学時代から親元を離れて八王子で暮らし、その後は杉並区内を転々(高円寺南→高円寺北→高円寺南→西荻窪→高円寺南→井草)としてきましたが、このたびのっぴきならない生活事情に、いつかは戻らなければならない長男坊としての宿命などさまざまな思いを重ねつつ、妻子ともども生まれ故郷の実家へ収まることとなりました。
私が生まれ育ったころと比べると深川のあたりも様変わりしました。

いかだが浮かぶ泥臭い川は埋め立てられて緑道や親水公園になり、材木問屋街や傾きかけた工場などは大きな公園や大型商業施設になりました。

息子にとっても、よい環境だと思っています。おまい、小学校も中学校も俺の後輩になるんだぞ、などと話しかけると「あ”#$%しゅ&'¥¨øƒぶ˙∆˚(よろしくとうちゃん)……」と最近よく聞き取れない早口言葉を発するようになったので渡部篤郎かと思う。

次回からまた、新しい街の風景やそれらにまつわるごくごく身近な、たとえば「嫁と姑の確執とそこで板挟みの俺」などのどうでもいいネタを提供していけたらいいと思います。どうでもよくねえよ。
下井草踏切