いい映画とダメな映画
ここ数年で映画をよく観るようになりました。中でもなんらかの賞を獲った、もしくは世間で名作・話題作と評価されたものを中心に観ています。それはなぜかというと、だってもうあと四十年くらいしかまともに生きられないのだから、どうせなら「いい映画だ」と言われ(語り)継がれているものを観ておきたいと思ったからです。
もちろん、ストーリー、役者、映像、音楽、美術などをふくめたそれらがいいと言われる映画を観るばかりだけでなく、好きな人に薦められて一緒に観て共感し合ったり、ひとり暇つぶしに入ったがらがらの劇場でなんとなしに観た作品が思いがけずじんわり心に残ったりすることも映画の楽しみ方のひとつでしょう。
つまり「いい映画」は、映画を観終わったあとに「金と時間を使ってよかった」と思えるものだと私は思います。
ですからもうあと四十年くらいしかまともに生きられない私はなるだけ無駄な金と時間を使いたくないので、レンタルするときは「アメリカ脚本家協会所属脚本家たちが選ぶ『史上最高の映画脚本101本』全リスト」というものを参考にして選ぶようになりました。まだこの中の半分も観ていませんが、さすがプロが選んだ作品だけあってどれもそれなりに見応え充分で(設定や作風の個人的な好き嫌いはあれど)ちゃんと「スジの通った」いい映画ばかりです。いい映画はとても勉強になります。
しかし私の場合、やはり行儀よくまじめなんてできやしなかったのです。いい映画ばかり観ているとやはりお腹いっぱいになって、不思議とダメな映画も観たくなってきたのです。もうあと四十年くらいしかまともに生きられないのですから、どうせならダメな中でも「とくにダメな映画」と言われているものを観て無駄な金と時間を使いたいと思ったのです。
というわけで以前の記事でもご紹介した「ゼロ年代のワースト映画」で堂々第一位を獲得した映画『デビルマン』を観てみました。
率直な感想はとにかくまあひどかったです。それはどんなだったか、と詳しく書くその時間すら損だと思えるくらいですから、誠に勝手ながら「破壊屋」の管理人さんに敬意を表しつつ下記のリンク先の記事を読んでもらえれば幸いです。
ウィキでもひどい書かれっぷりです。 » デビルマン(Wikipedia)
いくらなんでもここまで破綻した映画が世の中に公開されるものだろうか? と思って観てみたら本当にその通りでびっくりしました。とにかく主人公ふたりの演技にド肝を抜かれます! 私はこの映画を観てからなんとなくヘルニアの調子がよくないです。
くわえて、この映画についても「破壊屋」さんがツッコまれておりました。
主役であるはずの「オダルフィ」が最後までとくになにもしない(画面に映っていろいろ走り回っていただけ)というまったくよくわからない映画で、こういう作品が商業的に成り立つシステムってなんなんだろうと思います。日本には日本独自の小さい規模での映画の作り方があってそれを盛り上げようと頑張っている人たちにとても失礼。「これだから邦画は……」と言われる理由のすべてをこの二本で堪能できた気がします。
とはいえ、ひどい内容だと知りながらあえてネタ半分(反面教師的な勉強半分)で観たものですから、映画館へ足を運んだ人に比べたらダメージは少ないです。次からはちゃんとまともな邦画を観たいです。
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というわけで、その他の最近観た「いい映画」です。
初見の中では『ドリームガールズ』がおもしろかったです。タモリさんの影響でミュージカルは食わず嫌いだったのですがこれは意外といけました。でも怒りの感情を唐突に歌いだす瞬間はやはり違和感が拭いきれずなんだか照れますね。
『イヴの総て』と『ザ・エージェント』は共に女性キャラクターの描き方がおもしろいです。『ホテル・ルワンダ』は日曜日に観ると月曜日の鬱っぷりに拍車がかかることうけあいです。
『明日に向かって撃て!』のロバート・レッドフォードはところどころブラッド・ピットそっくりでそれはまあどうでもいいとして、『ドリームガールズ』のビヨンセが最初から最後までずっとオセロの中島にしか見えなくてそれがちょっとうっとうしかったです。